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サラリーマン vs フリーランス:どちらが自分に合っている?徹底比較ガイド

  • 執筆者の写真: 正俊 矢尾
    正俊 矢尾
  • 4月30日
  • 読了時間: 5分

更新日:5月2日


 「サラリーマンとフリーランス、どっちが得なのか?」

 これは起業を考える多くの方が一度は考えるテーマです。働き方・収入・自由度・リスクなど、両者には本質的な違いがあります。


 本記事では、所得・節税・可処分所得・自由度など多角的な視点から、どちらがどのような人に向いているのかを整理します。





1. 所得・税金・可処分所得の比較(年収別シミュレーション)


前提条件


  • 控除:基礎控除48万円+iDeCo等24万円=計72万円

  • フリーランスは青色申告65万円控除適用、サラリーマンは給与所得控除(法定額)

  • フリーランスは収入の1/3を経費として設定。

  • 所得税・住民税は累進課税(概算)

  • 社会保険料:フリーランスは国保+年金を自己負担、サラリーマンは給与天引き分のみ計上


年収

区分

経費

課税所得

税金

社保

可処分所得(手取り)

900万円

フリーランス

300万円

約463万円

約160万円

約80万円

約360万円


サラリーマン

なし

約780万円

約280万円

約90万円

約530万円

1200万円

フリーランス

450万円

約613万円

約235万円

約110万円

約405万円


サラリーマン

なし

約955万円

約350万円

約100万円

約750万円

1800万円

フリーランス

600万円

約1085万円

約460万円

約130万円

約610万円


サラリーマン

なし

約1555万円

約670万円

約120万円

約1010万円



結論


  • 経費が増えることでフリーランスの課税所得は減る=税金も下がる

  • しかし、経費自体は自腹なので、自由に使えるお金は大きく減る

  • つまり、「税金が安くなっても、経費がその分多くなれば、可処分所得は減る」



どう捉えるべきか?


  • 経費とは税金を減らすための「支出」であり、キャッシュアウトが伴うことが原則です。

  • 経費が多いと節税幅が多くなり、得している?という錯覚を招きます。必要経費ならまだ意味はありますが、ムダな支出は「節税額以上に手取りが減る」という結果を招きます。

  • ただし、サラリーマンでも仕事のための自腹での負担が多い場合は、実質的には可処分所得はその分下がり、かつ、支出の節税効果もありません。ただし、オフィスの賃料や光熱費、通勤手当、パソコン代等、多くの仕事のための必要は会社が経費として支払っており、個人事業主の経費と同額の自腹での負担がある場合は考え難いです。結果、サラリーマンの方が稼ぎが同じであれば可処分所得は多くなりやすいです。



2. フリーランスの方が有利になる可能性のあるパターン


(1) 必要経費が大きい業種・職種


 高額な機材・外注・広告・家賃を伴う業態では、経費計上により大きく課税所得を圧縮可能。


(2) 家族に仕事を手伝ってもらえる(青色専従者給与)


 配偶者や子どもに給与を支払い、合法的に所得分散。実効税率を下げられる。


(3) 家事按分が有効(自宅仕事)

 

 家賃・光熱費・通信費などを一部経費計上できる。実生活の出費を節税に活かせる。


(4) 収入の波が大きい業種


 出版印税、案件報酬など一時的に大きな所得が発生する職種で、赤字決算の年もある場合は、青色申告の赤字繰越で有利。


(5) 支出タイミングを自分でコントロールできる


 年末に備品購入や共済掛金で課税所得を調整可能。サラリーマンにはない節税戦略。



3. サラリーマン vs フリーランスの本質的な違い(7つの視点)


観点

フリーランス

サラリーマン

収入上限

青天井(実力と努力次第)

原則あり(給与テーブルに従う)

時間・場所の自由

高い

制約あり(勤務時間・勤務地)

業務選択の自由

自由に案件・取引先を選べる

原則は会社の命令に従う

リスクと責任

自己責任(取引・税務・信用)

会社が主に負う

社会保障

最低限(国保・国民年金)

充実(健保・厚年・手当)

収入の安定性

不安定(変動あり)

安定(月給・賞与あり)

キャリア形成

自由(自力で道を作る)

組織内で階段を上る形




4. どちらが向いているか?タイプ別診断


タイプ

向いている形態

リスクを取ってでも自由に働きたい

フリーランス

趣味を仕事にしたい

フリーランス

自分の裁量で仕事・収入をコントロールしたい

フリーランス

家族と一緒に働いて所得分散したい

フリーランス

事業規模の大きな仕事をしたい

サラリーマン

社会的な地位に対する拘りがある

サラリーマン

安定収入と社会保障を重視したい

サラリーマン

福利厚生を重視したい

サラリーマン



5. まとめ:節税だけに惑わされず「可処分所得」「生活の自由度」で選ぶ


 フリーランスとサラリーマンは、それぞれに税制・自由度・安定性・責任の重さが異なります。フリーランスは"経費を使うほど節税できる"ように見えますが、実際は「使った分、手元に残らない」という現実も伴います。その反面、顧客からの報酬の全額がそのまま自分の収入となるため、同一労働に対しての収入は圧倒的にサラリーマンより高くなります。サラリーマンであればいったんは会社の売上となり、それを原資として決まった金額が給料として支払われることとなります。


 節税額に踊らされず、可処分所得の絶対額で考えることが重要です。また、サラリーマンのように給与という枠に縛られた報酬よりも働きまくって稼ぎたいという方や、サラリーマン時代よりも労働時間を少なくしても同様の収入を得ることが可能となる方もいらっしゃいますので、生活の自由度や価値観に基づいて選ぶことも重要です。

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