【保存版】合同会社の設立手続きまとめ
- 正俊 矢尾
- 4月30日
- 読了時間: 4分
更新日:4月30日
「合同会社を作りたい」と思っても、実際に何をどう進めればいいのかイメージしづらい方は多いはず。このコラムでは、合同会社設立に必要な準備・手続き・費用、設立前後に必要な届出や社会保険の手続きまで、実務視点で全体像をわかりやすく整理しています。

1. 会社設立に向けて、まず何を決めればいい?
合同会社設立にあたっては、まず以下の項目をあらかじめ整理しておく必要があります。
項目 | 概要 |
---|---|
商号(会社名) | 同一住所・同一商号はNG/商標・ドメイン重複も確認要 |
本店所在地 | 自宅を本店として登記することも可能だが、登記簿に代表者住所が記載される点に注意(自宅で主に働くならバーチャルオフィス等でも借りたほうがよい) |
事業目的 | 定款には将来展開する予定の事業も広めに書くとよい(後で追記すると、定款変更手続きで追加で費用が発生するため注意) |
発行株式数・資本金 | 最低資本金制度は撤廃(資本金1円でも設立可能) |
社員・出資者 | 1名で兼任可(ひとり会社も可能) |
決算期 | 自由設定可(税務・資金繰りを考慮して決定) |
2. 設立にかかる手続きと流れ
【設立前の準備】
定款の作成(freeeやMoney Forward、弥生等で原則無料で作成できるサービスあり)
※合同会社は定款の認証が不要です。
資本金の払い込み(出資金を代表社員名義の口座に振込)
【設立登記(法務局)】
登記申請書類一式を作成
法務局へ設立登記申請(通常は申請から1週間前後で完了)
3. 設立にかかる費用(目安)
項目 | 電子定款の場合 | 紙の定款の場合 |
---|---|---|
定款認証手数料 | ー | ー |
印紙代 | 0円(電子) | 40,000円 |
登録免許税(法務局) | 150,000円(最低額) | 150,000円(最低額) |
その他(司法書士委託等) | 自分でやれば0円/依頼すれば5〜15万円程度 | 自分でやれば0円/依頼すれば5〜15万円程度 |
4. 設立後の手続き一覧
提出先 | 手続き内容 | 提出期限 |
---|---|---|
税務署 | 法人設立届出書、青色申告承認申請書、給与支払事務所の開設届など | 設立日から2ヶ月以内 |
都道府県税事務所/市町村 | 法人設立届出書 | 地域による(概ね1ヶ月以内) |
年金事務所 | 健康保険・厚生年金の新規加入届、被保険者資格取得届など | 原則5日以内 |
労働基準監督署 | 労災保険関係成立届など | 事業開始から10日以内 |
ハローワーク | 雇用保険適用事業所設置届など | 雇用開始から10日以内 |
5. 社会保険の加入義務
合同会社はたとえ社長1人だけでも社会保険の強制加入対象です(法人は原則適用事業所)。加入しない場合、後から2年分遡って徴収されるリスクがあります。
加入対象 | 内容 |
健康保険 | 協会けんぽまたは健康保険組合 |
厚生年金保険 | 日本年金機構 |
労災保険 | 原則強制加入 |
雇用保険 | 従業員を雇う場合に加入 |
6. 設立にかかる期間
フロー | 所要期間(目安) |
準備・定款作成 | 1〜2日 |
登記申請〜完了 | 約5営業日(1週間程度) |
税務・社会保険等の届出 | 登記完了後、2週間以内に集中して対応 |
7. 代表者の住所公開について(2024年改正対応)
合同会社設立時の登記簿には、代表社員の住所が原則として記載されます。つまり、「誰がどこに住んでいるか」が公開情報になるため、自宅を本店にする場合は以下のような対策も検討されます:
バーチャルオフィスやレンタルオフィスの住所を使う
代表者と本店所在地を分ける(代表住所は代表者登記上に残ることが多いため限界あり)
2024年の商業登記規則の改正により、合同会社設立時に代表社員の住所を登記簿に完全公開しないことができるようになりました。
具体的には、登記申請の際に「非表示にする」旨を申請すると、登記簿には最小行政区画(例:●●県●●市)までしか記載されず、それ以降の住所(番地や建物名など)は表示されなくなります。これにより、代表者のプライバシーを守りながら会社運営ができるようになります。
まとめ
合同会社は、設立コストが低く、運営の自由度が高い法人形態です。スピーディーに起業したい方、資金を抑えてスタートしたい方に特におすすめです。
freeeやMoney Forward、弥生といったクラウド型会計ソフトを提供している事業者では原則無料で定款や設立時・設立後に必要な書類を作成できるサービスも提供されていますので、これらのサービスを利用すると簡単かつ安価に設立手続を行うことができます。
加えて、法人用の銀行口座の開設や法人用のクレジットカード等を作成することも重要です。一般消費者向けのサービス事業者であればカードや電子マネー等の決済手段等を用意しておくことも必要となるかと思います。
設立前にサラリーマン等をされていて、設立までに急ぎすぎる必要性がない方は、事業計画を確り作ることもご検討ください。
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